歯で噛むことで脳が活性化される
歯が抜けて物が噛めなくなると、脳の機能を著しく低下させることが最近になってわかってきました。歯が抜けるのも思考力が低下するのも一つの老化現象であって、それぞれの因果関係などそれまでは考えもしませんでした。
歯は大まかに歯根(歯の本体)と歯槽骨(歯ぐき)、そしてその中間にある歯根膜という構造になっています。歯根膜は物を噛んだときにかかる力を検知して脳に伝える役目をするのですが、ということは、この歯根膜を刺激すると脳も同時に刺激を受けることになります。
実験の結果、実際に脳の様々な部分(前頭前野、運動野、感覚野、海馬など)が刺激されていることがわかりました。つまり、歯で噛むという行為は人が日常生活をする上で重要な脳の機能を活性化しているのです。昔から「よく噛んで食べましょう」と言われ続けていますが、食べ物を消化吸収しやすくする以外にもこんな重要な効果があったです。
このことから、歯が抜けて物が噛めなくなると同時に脳の機能が衰えてしまうことが理解できます。では歯が抜けてしまったらどうしたらいいのでしょう。そのときは入れ歯を入れればいいのです。歯根膜は残っていませんが、歯槽骨の表面に歯根膜に似た層が形成されて刺激を脳に送ることが確認されています。
さて、よく噛んで食べることは何よりの脳のアンチエイジングであることがわかりました。しかしそれだけではありません。なんと噛むことでダイエット効果も期待できるのです。
人が食事をするときには「食べたい」という摂食中枢と、「もう食べられない」という満腹中枢がせめぎ合っています。このとき噛む回数が増えるほどに満腹感の方に傾くのですが、その原因はヒスタミンという科学物質にあります。歯根膜が刺激されるとヒスタミンが脳の中で増えていき、満腹中枢を刺激するのです。
ヒスタミンは一般的には痒みや痛み(またはアレルギー症状)の原因とされていますが、脳内で自然繁殖するものについては悪影響はありません。つまりヒスタミンを口径摂取してもダイエット効果はないのですが、ヒスタミンに代わるものとしてヒスチジンがあります。ヒスチジンは赤味の魚(マグロ、カツオ、ブリなど)や豚肉に含まれており、これを食べると酵素の働きで脳内にヒスタミンが増えていきます。これらの食料品をバランスよく献立に盛り込み、そして噛む回数を意識的に増やすのが最も効果的といえます。